1. 貸借対照表(B/S):会社の健康診断書
- 貸借対照表は、会社の財務状況を写真のように表した「健康診断書」のようなものです。
- 会社の「体力」である資産、「借金」である負債、「貯金」である純資産の3つの要素で構成されています。
分かりやすい例え
- 体力のチェック: 体力は、会社の資産(機械、設備、土地など)に例えられます。体力が高いほど、会社は多くの資産を持ち、事業を展開する力があります。
- 借金のチェック: 借金は、会社の負債(銀行からの借入金、取引先への未払い金など)に例えられます。借金が多いほど、会社は返済義務を負い、財務体質が弱くなります。
- 貯金のチェック: 貯金は、会社の純資産(自己資本)に例えられます。貯金が多いほど、会社は自らの力で事業を運営できる基盤が強くなります。
貸借対照表を読むことで、会社の体力、借金、貯金がどの程度かを知ることができます。
2. 損益計算書(P/L):会社の1年間の成績表
- 損益計算書は、会社の1年間の営業活動によってどれだけの利益を上げたのかを示す「成績表」のようなものです。
- 売上高、売上原価、販管費、営業利益、経常利益、税引前利益、税引後利益などの項目で構成されています。
売上高
- 会社の「売上」を表す最も基本的な指標です。
- 商品やサービスの販売によって得られた「総収入」と捉えられます。
- 売上高の増加は、会社の成長を意味します。
売上原価
- 売上高を上げるために必要な「コスト」を表します。
- 商品の製造や販売にかかる費用などが該当します。
- 売上原価の削減は、利益の増加に繋がります。
販管費
- 商品やサービスを販売するために必要な「販売・管理コスト」を表します。
- 人件費、広告宣伝費、通信費などが該当します。
- 販管費の効率化は、利益率の向上に貢献します。
営業利益
- 本業による「純粋な利益」を表します。
- 売上高から売上原価と販管費を引いたものです。
- 営業利益は、会社の収益性の指標として重要です。
経常利益
- 本業以外の「臨時収入・臨時支出」を加味した利益を表します。
- 営業利益に、投資活動や財務活動による利益・損失を加算・減算したものです。
- 経常利益は、会社の全体的な収益力を把握する指標として役立ちます。
税引前利益
- 経常利益から「法人税等」を差し引く前の利益を表します。
- 会社が実際に得られる利益ではありませんが、課税対象となる重要な指標です。
- 税引前利益は、会社の納税額を把握する指標として役立ちます。
税引後利益
- 会社が実際に得られる「最終的な利益」を表します。
- 税引前利益から「法人税等」を差し引いたものです。
- 税引後利益は、株主への配当や内部留保に回せる資金の源泉となります。
利益分析の重要性
- 利益分析は、会社の経営状況を把握し、問題点を発見し、改善策を講じるために重要です。
- 利益の推移を分析することで、会社の成長性や収益性を判断することができます。
- 利益分析は、経営戦略の策定や意思決定に役立てることができます。
利益分析のポイント
-
- それぞれの利益項目を単独で分析するだけでなく、各項目間の比率や推移も分析することが重要です。
- 過去の実績と比較したり、業界平均と比較したりすることで、会社の強みや弱みを把握することができます。
- 利益分析は、会計データだけでなく、販売データや顧客データなどの他のデータも組み合わせて分析することが有効です。
3. キャッシュフロー計算書:会社の現金の流れを知る水路図
- キャッシュフロー計算書は、会社の1年間の現金の流れを3つの活動(営業活動、投資活動、財務活動)に分けて示す「水路図」のようなものです。
- 営業CF、投資CF、財務CF、フリーキャッシュフローなどの項目で構成されています。
分かりやすい例え
- 川からの水: 営業CFは、会社の「川からの水」に例えられます。営業CFは、商品の販売やサービスの提供によって得られる現金の流れです。
- 用水路: 投資CFは、会社の「用水路」に例えられます。投資CFは、事業拡大や設備投資のために支出される現金の流れです。
- 海からの水: 財務CFは、会社の「海からの水」に例えられます。財務CFは、借入金や株式発行によって得られる現金の流れです。
- 余った水: フリーキャッシュフローは、会社の「余った水」に例えられます。フリーキャッシュフローは、会社の自由裁量で使用できる現金の流れです。
キャッシュフロー計算書を読むことで、会社の川からの水、用水路、海からの水、余った水がどの程度かを知ることができます。
4. 売掛金:まだ受け取っていないお金
イメージ:まだ受け取っていない「お小遣い」
- 売掛金は、商品やサービスを販売した対価としてまだ受け取っていない「お小遣い」のようなものです。
- 商品やサービスを販売した時に、お客様から「お小遣い」をもらえる約束をして、それがまだもらえていない状態です。
具体的な例
- 会社が100万円分の商品を販売し、お客様からまだ代金を受け取っていない場合、その100万円は売掛金となります。
- 売掛金が多いということは、会社が多くの商品やサービスを販売し、まだ代金を受け取っていないということです。
問題点
- 売掛金が溜まりすぎると、会社の資金繰りが悪化してしまうことがあります。
- お客様が代金を支払ってくれない場合、会社は損失を被ってしまう可能性があります。
対策
- 支払い期限を明確にする
- 早期支払い割引制度を導入する
- 定期的な督促を行う
- 弁護士や債権回収会社に依頼する
5. 粗利率と売上高粗利益率:商品の儲け率
イメージ:商品の儲け率
- 粗利率と売上高粗利益率は、商品の儲け率を示す指標です。
粗利率
- 粗利率は、売上高から売上原価を引いたもので、商品の販売によってどれだけの利益を上げているかを示す指標です。
計算式
粗利率 = (売上高 - 売上原価) / 売上高 × 100
例
- 売上高が100万円で、売上原価が50万円の場合、粗利率は50%となります。
- つまり、100万円の売上に対して、50万円の利益を上げていることになります。
売上高粗利益率
- 売上高粗利益率は、粗利率を売上高で割ったもので、粗利が売上高に占める割合を示す指標です。
計算式
売上高粗利益率 = 粗利率 / 100
例
- 粗利率が50%の場合、売上高粗利益率は0.5となります。
- つまり、売上高の50%が粗利となっていることになります。
解釈
- 粗利率と売上高粗利益率が高いほど、商品の儲け率が高く、会社は儲けやすいと言えます。
6. 固定費と変動費:会社の経費を分類する
イメージ:固定費は家賃、変動費は食費
- 固定費と変動費は、会社の経費を分類する指標です。
固定費
- 固定費は、営業活動量に関係なく一定額発生する経費です。家賃、人件費、減価償却費などがこれに該当します。
例
- 会社が毎月100万円の事務所を借りている場合、その100万円は固定費となります。
- 営業活動量に関係なく、毎月100万円の支出が発生することになります。
変動費
- 変動費は、営業活動量に応じて増減する経費です。売上原価、販売手数料、広告宣伝費などがこれに該当します。
例
- 会社が商品を1個販売するたびに100円の材料費がかかる場合、その100円は変動費となります。
- 商品の販売量が増えれば、材料費も増加し、販売量が減れば、材料費も減少します。
解釈
- 固定費は削減するのが難しいですが、変動費は工夫次第で削減できます。
7. 借入金:会社が借りているお金
イメージ:会社の借金
- 借入金は、会社が金融機関から借りている「借金」です。
具体的な例
- 会社が銀行から1,000万円の融資を受けている場合、その1,000万円は借入金となります。
問題点
- 借入金が多いと、会社の財務体質が悪化してしまうことがあります。
- 金利の支払い負担が大きくなります。
対策
- 借入金の返済計画を立てる
- 金利を見直す
- 自己資本比率を向上させる
8. 自己資本比率:会社の財務体質の強さを示す指標
イメージ:会社の「貯蓄率」
- 自己資本比率は、会社の「貯蓄率」のような指標です。
計算式
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100
例
- 自己資本が1,000万円で、総資産が2,000万円の場合、自己資本比率は50%となります。
- つまり、会社の資産の半分が自己資本で賄われていることになります。
解釈
- 自己資本比率が高いほど、会社の財務体質が強く、返済能力が高いと言えます。
- 一般的には、自己資本比率は30%以上が望ましいと言われています。
9. 税金を節税(減税や控除などの税制優遇措置)
イメージ:会社の「お小遣い」を増やす
- 税金を節税することは、会社の「お小遣い」を増やすようなものです。
具体的な例
- 会社が減価償却費を計上することで、課税所得を減らし、税金を節税することができます。
効果
- 節税効果により、会社の利益を最大化することができます。
対策
- 税制優遇措置を積極的に活用する
- 経費の計上方法を工夫する
- 税理士に相談する
10. 課税所得と納税額
イメージ:会社の「お小遣い」と「税金」
- 課税所得は、会社の「お小遣い」に例えられます。
- 納税額は、会社の「税金」に例えられます。
計算式
- 課税所得 = 売上高 – 売上原価 – 販管費 + その他の収入 – その他の費用
- 納税額 = 課税所得 × 税率
例
- 売上高が1,000万円で、売上原価が500万円、販管費が300万円、その他の収入が100万円、その他の費用が50万円、税率が20%の場合、課税所得は750万円、納税額は150万円となります。
解説
- 課税所得は、会社の利益のうち、税金が課される部分です。
- 納税額は、課税所得に対して課される税金です。
まとめ
今回のコラムでは、会社の財務状況を読み解くために必要な専門用語について、分かりやすく解説しました。
これらの専門用語を理解することで、会社の財務状況を把握し、経営上の意思決定に役立てることができます。
この記事へのコメントはありません。