管理職が足りない会社へ|採る前に、主任・リーダーの仕事を分解する7ステップ
「現場を任せたい人がいない」「主任に上げたのに、プレイヤー業務から抜けられない」「管理職候補を採るべきか迷う」。そんな中小企業に向けて、採用ありきではなく、まず仕事を分解し、必要職能と育成導線を整える考え方をまとめました。
この記事では、JOBJOINで大切にしている 業務分解 → 必要職能 → 関連才能 → 必要マイクロスキル → KPI → 採用設計 → 定着設計 の順で、主任・リーダー役割を整理する方法を解説します。読むと、外部採用・内部昇格・再配置・育成のどれを先に打つべきかが見えやすくなります。
厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』」では、能力開発や人材育成に何らかの問題がある事業所は 79.9%、計画的なOJTを正社員向けに実施した事業所は 61.1% でした。中小企業庁「2025年版 中小企業白書」でも、人材育成を増やしていない企業では「育成に充てる時間的余裕がない」「指導する人材が足りない」「育成する能力が明確になっていない」といった問題が示されています。
参照元:厚生労働省、経済産業省、中小企業庁の一次情報を末尾にまとめています。
なぜ「管理職がいない」は採用だけでは解けないのか
中小企業で「管理職が足りない」と感じる場面の多くは、単純な人数不足ではありません。多いのは、任せたい仕事の輪郭が曖昧なまま、肩書だけ先に渡っている状態です。朝礼、進捗確認、育成、他部署調整、トラブル一次対応、数値管理。このうちどこまでを主任に任せ、どこからを課長が持つのかが曖昧だと、昇格しても現場の便利屋になりやすくなります。
経済産業省「人材版伊藤レポート2.0」でも、現場の管理職・マネージャーがコミュニケーションスキルを養い、社員の仕事上の動機や意向に耳を傾け、自発的な行動を促す役割が重要だと整理されています。つまり、管理職は単なる指示役ではなく、人と仕事の接続を設計する役割です。
ところが現実には、厚生労働省の調査で教育訓練費用を支出した企業は54.9%、OFF-JT費用を支出していない企業は45.1%でした。白書でも、社内コミュニケーションが円滑でない企業ほど定着率と生産性が下がりやすく、特に「経営陣と非管理職」だけでなく「部署内の管理職と非管理職」に課題が集まりやすいと示されています。中間層の役割が曖昧なままでは、採っても、昇格させても、育ち切らないのです。
まず見るべきは「人」ではなく「任せたい仕事」
JOBJOINは求人作成サービスではありません。採用を「人を探すこと」ではなく、「任せたい業務を明確にし、その仕事に必要な才能・職能・マイクロスキルを設計すること」と捉えます。だから、主任・リーダー不足に見える課題でも、いきなり採用要件を書くのではなく、まず役割の棚卸しから始めます。
| 現場で起きている症状 | 構造上の原因 | 先に打つべきこと |
|---|---|---|
| 主任候補が「忙しい」しか言わない | プレイヤー業務とリーダー業務が分かれていない | 1週間の行動記録を取り、任せたい業務を分解する |
| 課長によって育成の質がばらつく | 教える内容が感覚で、必要マイクロスキルが定義されていない | 観察・声かけ・振り返りの具体行動を3〜5個に絞る |
| 昇格しても部下との対話が続かない | 数値責任だけ渡し、対話のKPIがない | 週次面談回数、引継ぎ率、相談一次解決率を入れる |
| 外部採用した管理職が現場になじまない | 役割と裁量の境界が曖昧で、期待値共有が不足している | 採用前に「任せること/任せないこと」を文章化する |
5分でできる簡易診断
3つ以上当てはまるなら、採用より先に役割設計が必要です
- 主任・リーダーの仕事を、箇条書きで10個以上すぐ出せない。
- 「この人がいないと回らない」仕事が2つ以上ある。
- 部下育成を任せているが、教える観点が人によって違う。
- 昇格後90日で何ができれば合格か、KPIで言えない。
- 管理職候補の見極めが、性格や雰囲気の話で止まりやすい。
診断結果が多いほど、問題は「候補者の資質不足」ではなく、役割定義と育成導線の不足にある可能性が高いです。
JOBJOIN式 主任・リーダー役割を整える7ステップ
1. 業務分解
まず、主任・リーダーに任せたい仕事を「場面」と「頻度」で分けます。たとえば、朝礼運営、日次進捗確認、トラブル一次判断、新人フォロー、他部署調整、月次数値レビューなどです。ここで大切なのは、本人にやってほしいことではなく、組織として必要な仕事を洗い出すことです。
2. 必要職能
業務が出たら、それぞれに必要な職能を定義します。職能は「仕事で成果を出す力」です。例としては、進捗管理力、優先順位判断力、状況整理力、育成支援力、関係者調整力など。ここでは「優しい」「真面目」といった性格語に寄せません。
3. 関連才能
次に、その職能が活きやすい関連才能を整理します。関連才能は断定ではなく、「自然に出やすい傾向」です。たとえば、違和感に気づきやすい、相手の反応を拾いやすい、全体の流れを俯瞰しやすい、といったものです。才能はそのまま成果ではないため、ここでラベルづけしすぎないことが重要です。
4. 必要マイクロスキル
職能を育成可能にするため、具体行動に落とします。たとえば「進捗管理力」を育てるなら、朝の5分で遅延案件を確認する、遅れの理由を事実と解釈で分けて聞く、その日の優先順位を3つに絞って合意する といった行動です。ここまで落ちると、OJTの質がそろい始めます。
5. KPI設計
KPIは売上だけではありません。主任・リーダー育成では、引継ぎ完了率、週次1on1実施率、相談一次解決率、新人の立ち上がり日数、他部署への依頼再修正率など、役割の成果が見える指標を入れます。白書でも、人事評価制度のある企業ほど定着率が高い傾向が示されており、評価の明確さは育成と定着の土台になります。
6. 採用設計
KPIまで整理した上で、採用・再配置・育成・外注・標準化・自動化を比較します。そのうえで外部採用が必要なら、ここで初めて採用設計に入ります。求人票に書くべきなのは「管理職経験者」より先に、任せる業務、期待する職能、最初の90日で求めるKPIです。
7. 定着設計
最後に、任せっぱなしを防ぐ設計を入れます。初月の同行回数、週次レビュー、判断に迷ったときの相談ルート、月次の振り返りシート、昇格後90日の確認項目。ここが弱いと、採れた人も、昇格した人も、現場の孤立で力を出しにくくなります。
| 任せたい業務 | 必要職能 | 関連才能 | 必要マイクロスキル | KPI例 |
|---|---|---|---|---|
| 日次の進捗確認 | 進捗管理力 | 全体の流れを俯瞰しやすい | 遅延案件を先に確認し、優先順位をその場で合意する | 遅延案件の当日是正率 |
| 新人フォロー | 育成支援力 | 相手の反応を拾いやすい | 教えた後に「何が分かったか」を本人の言葉で確認する | 新人の独り立ち日数 |
| 他部署との調整 | 関係者調整力 | 論点を整理しやすい | 依頼背景・期限・優先度を3点セットで共有する | 差し戻し件数、再依頼率 |
30日で始める実装手順
現課長と主任候補の1週間の行動を見える化し、プレイヤー業務とリーダー業務を分けます。
頻度が高く、失敗コストの高い業務から、必要職能と具体行動を3〜5個に絞ります。
売上だけでなく、引継ぎ・育成・調整の指標を決め、週次レビューの型をつくります。
再配置・育成・外注・標準化・自動化も比較し、それでも不足する役割だけを採用対象にします。
Onefamilyが実務で支援するポイント
Onefamilyは、管理職候補を性格で選ぶのではなく、仕事と人のズレを整えるところから支援します。具体的には、業務分解、役割整理、必要職能の言語化、採用要件の再設計、育成シートづくり、1on1の確認観点整理までを一気通貫で扱います。
ここで大切なのは、「良い管理職を探す」ことよりも、「人が活きる条件を組織側で整える」ことです。Onefamilyの思想でいえば、人が活きる組織は偶然ではなく設計できます。管理職不足も同じで、採る前に仕事を整えるほど、採用・配置・育成の精度は上がります。
まとめ
管理職が足りない会社が、最初にやるべきことは求人票づくりではありません。まず、主任・リーダーに任せたい仕事を分解し、必要職能、関連才能、必要マイクロスキル、KPIを整理することです。そこまで見えたとき、外部採用すべきか、内部育成で足りるか、再配置で回るかの判断がやっと具体化します。
もし今、主任候補の育て方や、管理職採用の要件づくりに迷っているなら、いきなり大きな制度改定は不要です。まずは1つの部署、1つの役割から、役割分解シートをつくるところから始めてみてください。
Onefamilyは、JOBJOINを通じて業務分解、役割整理、採用要件、育成導線、定着設計までを伴走します。まずは簡易診断で現在地を確認し、資料で全体像をつかみ、必要なら個別相談で自社の状況を整理してください。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』の結果について」
- 中小企業庁「2025年版 中小企業白書(HTML版)第4節 人材戦略」
- 経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書(人材版伊藤レポート2.0)」
本記事は2026年7月2日時点で確認できた一次情報をもとに構成しています。Onefamilyを採用会社や人材紹介サービスのように見せる表現は避け、JOBJOINの実務思想に沿って整理しています。
