JOBJOIN / First HR Design
人事担当がいない会社へ|1人目人事を採る前に、人の仕事を分解する7ステップ
採用、育成、評価、1on1、定着。どれも大事だと分かっているのに、社長や現場責任者の兼務で回していて、毎回その場しのぎになる。そんな会社で「そろそろ人事を採った方がいいのか」と悩むのは自然です。ただし、役割を分解しないまま1人目人事を採ると、採用担当、総務担当、面談担当、制度担当が混ざり、結局また属人化しやすくなります。この記事では、Onefamilyの実務視点から、JOBJOINの順序に沿って、人事機能を仕事として分解し、採用・再配置・外部伴走・標準化のどれが今の自社に合うかを見極める7ステップを整理します。
想定読者:中小企業の経営者、役員、部門長、総務責任者、1人目人事の採用を検討している会社
検索意図:人事担当がいない、または兼務状態の中小企業が、何から整えればよいかを具体的に知りたい
この記事で分かること:1人目人事を採る前に見える化すべき仕事、採用判断の基準、JOBJOIN型の7ステップ、30日で始める実装手順
「人事がいない」は、人がいないこと以上に“構造がない”状態
中小企業で人事機能が弱いとき、よく起きるのは「採用だけ急ぐ」「離職が出たときだけ制度を触る」「面談が属人的で、育成が上司任せになる」という流れです。これは人事担当者がいないからというより、人事の仕事が分解されていないから起きやすくなります。
厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」では、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があると答えた事業所は79.9%でした。計画的なOJTを正社員に実施した事業所は61.1%で、キャリアコンサルティングを行う仕組みを正社員向けに導入している事業所は49.4%です。つまり、多くの会社が育成の必要性を感じつつ、育成と対話の仕組みまで一貫して持てているとは言い切れません。参照1
JILPTの2025年調査では、小規模企業も含めた企業調査で、「指導する人材が不足している」が33.5%で最も高い課題でした。加えて、OFF-JTを2023年度に実施した企業は31.6%にとどまり、規模別では「9人以下」16.2%、「10〜29人」30.4%です。人を育てる役割を持つ人が足りず、育てる仕組みも薄いままでは、1人目人事を採っても“何を任せればよいのか”が曖昧なままになりがちです。参照2
中小企業庁の「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」も、経営課題に基づいて数年先を見据えた採用・育成・活用を進める考え方を示しています。つまり、人事を採るかどうかは、求人の有無ではなく、会社としてどの人の仕事を、どの順番で整えるかの話です。参照3
まず見える化したい、人事担当不在の会社で埋もれやすい仕事
「人事」と一言で言っても、実際には複数の仕事が混ざっています。ここを分けずに採用すると、「採用広報はできるが育成設計は進まない」「面談はするがKPIがない」「制度を作ったが現場実装が止まる」といったズレが起きます。
| 人の仕事 | 現場で起きやすい詰まり | 先に決めたいこと |
|---|---|---|
| 採用設計 | 欲しい人が部署ごとに違い、要件が毎回ぶれる | 任せたい業務、期待成果、採用以外の代替案 |
| オンボーディング | 入社後の流れが担当者任せで、立ち上がり速度がまちまち | 30日・60日・90日の到達基準 |
| 1on1・対話設計 | 雑談で終わるか、詰問になり、成長の手応えが残らない | 何を聞くか、何を記録するか、次の行動にどうつなぐか |
| 育成設計 | ベテランの背中を見て覚える前提で、再現性が低い | 必要職能、伸ばす順番、マイクロスキル |
| 評価・配置 | 評価が査定で終わり、配置の見直しに活かされない | KPI、行動基準、役割の相性 |
| 定着・離職予防 | 辞める直前まで違和感に気づけない | 面談頻度、サインの拾い方、支援導線 |
この表を見て、「全部を1人目人事に持たせるのは重い」と感じたなら、その感覚は正しいです。だからこそ、採用より先に仕事を分解する必要があります。
5分で分かる、1人目人事を採る前の簡易診断
次の7項目のうち、いくつ当てはまるか確認してください。
簡易診断チェックリスト
- 採用の相談窓口が社長か現場責任者に集中している
- 求人票、面接、入社後説明で言っている内容が少しずつ違う
- 1on1をしているが、記録や次回までの約束が残らない
- 評価項目はあるが、育成テーマと連動していない
- 若手や中途の立ち上がり速度が、配属先で大きく変わる
- 採用すべきか、再配置や外注で足りるかを毎回感覚で決めている
- 離職理由を振り返っても、役割設計や育成設計まで戻れていない
3つ以上当てはまる場合は、「人事を採うかどうか」の前に、「人の仕事をどこまで構造化できているか」を見直す価値があります。5つ以上なら、1人目人事の採用だけでなく、外部伴走や標準化を含めた再設計を先に入れた方が失敗率を下げやすいです。
| 状態 | おすすめの初手 | 理由 |
|---|---|---|
| 採用課題だけが強い | 採用設計だけ先に整える | 要件が曖昧なまま採用しても、入社後のズレが再発しやすい |
| 採用・育成・評価が全部詰まっている | 人の仕事を分解し、社内外で持ち方を決める | 1人目人事に全部を背負わせると、担当者依存が増えやすい |
| 現場に教えられる人はいるが仕組みがない | 標準化とマイクロスキル化を先に進める | 採用前に育成再現性を上げる方が、立ち上がりが安定しやすい |
| 社長兼務で意思決定が詰まっている | 権限移譲範囲と面談導線を整理する | 人事採用より前に、どの判断を誰が持つかを明確にする必要がある |
1人目人事を採る前に、人の仕事を分解する7ステップ
ここからは、JOBJOINの基本順序に沿って整理します。大事なのは、採用ありきで進めないことです。採用、再配置、育成、外注、標準化、自動化を比較し、今の会社に合う打ち手を選びます。
ステップ1. 業務分解する
まずは「人事」という言葉をやめて、具体的な仕事に分けます。たとえば、採用要件を作る、応募前の情報を整える、面接日程を回す、入社後30日の伴走をする、1on1で違和感を拾う、評価会議を準備する、退職兆候を拾う、といった単位です。
このとき重要なのは、今すでに誰がやっているかも並べることです。社長、部門長、総務、現場リーダー、外部パートナーが混ざっているはずです。混在を見える化すると、1人目人事に渡すべき仕事と、渡してはいけない仕事が見えます。
ステップ2. 必要職能を整理する
業務ごとに、成果を出すために必要な「仕事で成果を出す力」を整理します。例として、採用設計なら「業務ヒアリング力」「要件言語化力」「関係者調整力」、1on1設計なら「対話設計力」「記録整理力」「課題抽出力」、育成設計なら「業務標準化力」「進捗確認力」が考えられます。
ここで「人柄が良さそう」「若い方がよさそう」といった曖昧な表現に逃げないことが重要です。役割を埋めるために必要な力を明確にすると、採用と再配置の比較がしやすくなります。
ステップ3. 関連才能を整理する
職能を支えやすい才能も見ます。たとえば、相手の変化に気づきやすい、論点を整理しやすい、関係者の温度差を埋めやすい、細かな運用を続けやすい、といった傾向です。Onefamilyでは、才能を性格診断のように断定しません。あくまで「どんな環境や役割で力が出やすいか」を見る材料として扱います。
この視点が入ると、社内にすでに向いている人がいるのに、肩書きがないだけで見逃していた、というケースも拾いやすくなります。1人目人事を外から採る前に、社内の適性を見直す余地が生まれます。
ステップ4. 必要マイクロスキルを決める
次に、「できるようになるための具体行動」まで落とします。たとえば、採用要件を作るなら「現場ヒアリングで5つの主要業務を言語化できる」「面接官ごとの評価観点を1枚にまとめられる」、1on1なら「面談後24時間以内に要点を記録する」「次回までの実験行動を1つ決める」といった具合です。
マイクロスキルがないまま人事担当を採ると、期待が抽象的になり、「思ったより動けない」というズレが起きやすくなります。逆にここまで落ちると、社内育成でも立ち上げやすくなります。
ステップ5. KPIを設計する
人の仕事は成果が見えにくいので、KPIを先に置きます。ただし、応募数だけ、人事制度の完成だけ、面談回数だけでは不十分です。業務と育成の両方を見る必要があります。
たとえば初期KPIは、以下のように置けます。
- 採用設計:主要3職種の業務分解シート整備率、面接評価観点の統一率
- オンボーディング:30日到達項目の達成率、立ち上がり面談実施率
- 1on1:面談記録率、次回までの行動設定率、違和感の早期把握件数
- 定着:90日離脱率、配属後の役割変更件数、離職理由の構造分類率
KPIがあると、人事担当を採るべきか、まずは外部伴走で十分かの判断がしやすくなります。
ステップ6. 採用設計をする
ここで初めて採用を考えます。JOBJOINは求人作成サービスでも人材紹介サービスでもありません。採用を「人を探すこと」ではなく、「任せたい仕事を明確にし、その仕事に必要な職能、関連才能、必要マイクロスキルを設計すること」と捉えます。
その上で、次の3択を比較します。
| 選択肢 | 向いている状態 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1人目人事を採用する | 業務が見えており、継続的に運用する仕事量がある | 仕事の境界が曖昧だと、便利屋化しやすい |
| 社内再配置で持つ | 向いている人材が社内におり、権限移譲もできる | 兼務過多のままだと続かない |
| 外部伴走を入れながら整える | まず設計と標準化を進めたい | 最終的に誰が社内で運用するかを決める必要がある |
ステップ7. 定着設計までつなぐ
1人目人事の採用で終わらせないことが最後のポイントです。採った人が3か月で疲弊する会社は少なくありません。理由は、役割が広すぎる、相談相手がいない、評価基準がない、現場との橋渡しが曖昧、のどれかであることが多いです。
そこで、1人目人事自身の定着設計も作ります。誰と週次で擦り合わせるか、最初の90日で何を達成すれば良いか、どの仕事は持たずに済むかを決めておくと、採用後の消耗を減らせます。Onefamilyの「知る→見る→入る→居続ける→活きる→巡る」は、社員だけでなく、人事機能を担う人にも必要な流れです。
30日で始める実装手順
大がかりな制度改定の前に、まず30日でここまでできると前に進みやすくなります。
- 1週目:社長、部門長、総務で「人の仕事」を棚卸しし、今誰が持っているかを書き出す
- 2週目:採用、オンボーディング、1on1、評価、定着の5領域で、主要業務を3〜5個ずつに分解する
- 3週目:各業務に必要な職能、関連才能、マイクロスキル、KPIを1枚にまとめる
- 4週目:採用・再配置・外部伴走・標準化のどれを優先するかを決め、90日計画に落とす
ここまで進むと、「今は採用より標準化が先」「1人目人事は採るが、評価制度は外部伴走で始める」「総務兼務ではなく、部門長から一部切り出す」といった判断がしやすくなります。
まとめ|1人目人事は、肩書きより先に“仕事の設計”が必要
人事担当がいない会社に必要なのは、すぐに採用を増やすことではなく、まず人の仕事を見える形にすることです。どの業務が詰まり、どの職能が必要で、誰が持つと活きやすいのかが分かると、採用の失敗も、兼務の疲弊も減らしやすくなります。
Onefamilyでは、JOBJOINを通じて、業務分解、必要職能、関連才能、必要マイクロスキル、KPI、採用設計、定着設計の順で整理します。採用ありきではなく、再配置、育成、外部伴走、標準化、自動化まで比較しながら、会社ごとの最適解を実装していきます。
参照元
- 厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』の結果を公表します」
- JILPT「調査シリーズNo.257 人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)」
- 中小企業庁「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」
- 厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」
注記:本文中の解釈は、上記の公的調査とOnefamilyの支援実務をもとにした整理です。個別企業の状況によって、優先順位は変わります。
