兼務が増えて、誰の仕事か分からない会社へ|中小企業の役割重複をほどく7ステップ

Onefamily Column

兼務が増えて、誰の仕事か分からない会社へ|中小企業の役割重複をほどく7ステップ

「気づけば同じ人が見積もりも顧客対応も育成も抱えている」「担当者名はあるのに、実際には誰が責任者か曖昧」「兼務で回しているはずなのに、なぜか仕事が遅い」。そんな中小企業の経営者、人事、現場責任者に向けて、兼務そのものを否定せず、役割の重複を整えて人が活きる状態へ戻す方法を整理します。

この記事では、Onefamilyが大切にしている 業務分解 → 必要職能 → 関連才能 → 必要マイクロスキル → KPI設計 → 採用設計 → 定着設計 の順で、兼務が増えた組織をどう立て直すかを解説します。読むと、「人手不足だから仕方ない」で止まらず、どこを整理すれば速度と再現性が戻るのかが見えるようになります。

この記事の前提データ

中小企業庁「2025年版 中小企業白書」では、中規模企業・小規模事業者の双方で 「人材確保」 を最も重視する経営課題として挙げており、中小企業・小規模事業者の人材不足は依然として深刻だと整理されています。人が足りない現場で兼務が増えるのは、特別な失敗ではなく構造的な現象です。

一方、厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」では、教育訓練費用を支出した企業は 54.9%、教育訓練休暇制度の導入企業は 7.5% でした。人手不足のなかで育成の余白を確保しにくい企業が多いことも読み取れます。

さらに厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活のストレス要因として 仕事の量、仕事の質、役割・地位の変化 が項目として挙げられています。兼務の問題は単なる忙しさではなく、役割の曖昧さや責任の重なりにも関係します。

参照元の一次情報URLは記事末尾にまとめています。

なぜ兼務が増えると、頑張っているのに遅くなるのか

兼務が悪いわけではありません。中小企業では、一人が複数の役割を持つこと自体は自然です。問題は、何をどの順番で、どこまで責任を持つのかが整理されないまま兼務が積み上がることです。

たとえば、営業責任者が見積承認、既存顧客フォロー、採用面談、若手のOJT、月次会議資料まで抱えているとします。本人が優秀でも、判断の切り替え回数が増え、後輩は「何を相談すればいいか」が分かりにくくなります。結果として、確認待ち、やり直し、属人化が増え、忙しいのに前に進まない状態が起きます。

Onefamilyは、人が活きない理由を「人が弱いから」ではなく「構造が整っていないから」と捉えます。兼務の詰まりも同じです。まず責めるべきは人ではなく、役割の設計です。

最初に見るべきは「人手不足」より「役割重複」

兼務が増えた現場では、すぐに採用へ走りたくなります。しかしJOBJOINの基本思想では、採用ありきで考えません。採用、再配置、育成、標準化、外注、自動化のうち、どれが本当に必要かを、仕事の構造から判断します。

起きている状態 先に見る打ち手 判断の目安 採用を急がない理由
複数人が同じ確認をしている 役割整理、承認フローの見直し 責任者と確認者が分かれていない 人を増やしても二重確認が増えるだけになりやすい
特定の人しか判断基準を説明できない 業務分解、標準化、育成設計 手順ではなく経験で回している 採用後の立ち上がりが遅く、再び属人化しやすい
本人は忙しいが成果のボトルネックが見えない KPI再設計、業務棚卸し 仕事量ではなく切り替えコストが高い 増員しても「何を任せるか」が曖昧なまま残る
どう見ても残すべき機能が足りない 採用設計 再配置や育成では吸収できない業務量がある この段階で初めて、採用要件が具体化しやすい

5分でできる簡易診断

3つ以上当てはまるなら、兼務の問題は「人数不足」だけではありません

  • 担当者名はあるが、実際には同じ人が最終判断をしている。
  • 会議では進んだように見えるのに、現場でやり直しが多い。
  • 後輩が「誰に、何を、どこまで相談するか」で迷いやすい。
  • 引き継ぎ資料より「まず本人に聞いて」が優先されている。
  • 忙しい人ほど新しい仕事を引き受け、役割が固定化している。

この状態では、現場の善意で帳尻を合わせるほど、役割の境界がさらに曖昧になります。まずは「兼務が多い」のではなく、どの役割が重なっているか を見える化することが重要です。

JOBJOIN式 役割重複をほどく7ステップ

1. 業務分解

最初にやるべきことは、役職名や部署名ではなく、実際の仕事を分解することです。見積作成、見積承認、顧客への一次回答、顧客課題の深掘り、OJTの確認、会議資料の更新など、工程と頻度で分けます。ここで大切なのは、「誰がやっているか」ではなく「何が行われているか」 を見ることです。

2. 必要職能

次に、各業務に必要な職能を整理します。たとえば、顧客理解力、確認力、段取り力、数値整合力、育成支援力、優先順位づけの力などです。同じ人が複数の仕事を抱えていても、その仕事に必要な職能が違えば、切り替えコストは高くなります。職能が見えると、「どこを1人で持たせないほうがよいか」が見えます。

3. 関連才能

職能を発揮しやすい関連才能も確認します。相手の反応を拾いやすい、違和感に気づきやすい、論点をまとめやすい、手順化が得意、全体最適で考えやすい、などの傾向です。ここで役立つのがJOBEEです。JOBEEは、強み、価値観、働き方、キャリアの軸を整理し、個人理解を深めるサービスです。兼務を減らせない時期でも、誰にどの役割を寄せると活きやすいか を見極めやすくなります。

4. 必要マイクロスキル

次に、職能を支える具体行動へ落とします。たとえば、顧客理解力なら「面談後24時間以内に論点を3行で残す」、確認力なら「承認前に差異項目を3つに分類する」、育成支援力なら「教えた後に相手の言葉で手順を言い直してもらう」といった単位です。役割の重複を解くには、仕事を「引き受ける」だけでなく「渡せる形」に変える必要があります。

5. KPI設計

KPIは売上だけでは足りません。確認待ち件数、承認リードタイム、見積差し戻し率、後輩の独り立ち日数、会議後の手戻り件数など、役割重複がほどけたか を測る指標が必要です。数字がないと、「忙しさ」は共有されても、「どこが詰まっているか」は共有されません。

6. 採用設計

ここまで整理して初めて、採用が必要な機能が見えます。JOBJOINは求人作成サービスではありません。採用を「人を探すこと」ではなく、「任せたい業務を明確にし、その業務に必要な職能、才能、マイクロスキルを設計すること」と捉えます。つまり、役割重複を整理した内容は、そのまま採用要件の精度を上げる材料になります。

7. 定着設計

最後に、役割を分けた後も回る状態を設計します。30日、60日、90日で確認する観点、相談ルート、代理対応の範囲、OJTの確認タイミングを決めます。兼務をほどいた直後は、「前の人のほうが早かった」が起きやすいからこそ、定着設計が必要です。役割を分けることは終わりではなく、分けたあとに人が活きる状態を続けること までが仕事です。

業務 必要職能 関連才能 必要マイクロスキル KPI例
既存顧客の定例フォロー 顧客理解力 相手の反応を拾いやすい 面談直後に論点、宿題、期限を記録する 宿題未回収件数、再説明回数
見積の最終承認 数値整合力 違和感に気づきやすい 差異が出た項目をその場で原因別に分類する 差し戻し率、承認リードタイム
若手OJTの進捗確認 育成支援力 順序立てて考えやすい 本人の言葉で手順を言い直してもらう 独り立ち日数、手戻り件数

兼務をゼロにできない会社こそ、JOBEEの視点が効く

中小企業では、すぐに役割を完全分業へ変えられないことも多くあります。そのとき重要なのは、兼務を力業で増やすのではなく、本人の強みと役割の相性を見ながら配ることです。

たとえば、顧客の温度感を拾うのが得意な人に一次対応を寄せる、手順化が得意な人に引き継ぎ資料の型を任せる、全体の流れを俯瞰できる人に優先順位づけを持ってもらう。これだけでも、同じ兼務でも疲弊の仕方と成果の出方は変わります。

JOBEEは、個人理解を深めることで、「どの役割で活きやすいか」を整理する入口になります。JOBJOINが企業理解、JOBEEが個人理解。この両方をつなぐことで、兼務を単なる負荷ではなく、意味のある役割設計へ近づけられます。

30日で始める実装手順

1週目:兼務業務の棚卸し

役職名ではなく、実際の仕事を工程単位で書き出します。重複している承認、確認、問い合わせ対応を洗い出します。

2週目:役割境界の仮決め

「誰が主担当で、誰が補助か」「どこから承認が必要か」を明文化し、曖昧なまま残っている境界を埋めます。

3週目:マイクロスキルとKPI設定

引き継げる具体行動と、確認待ち件数や差し戻し率などの進捗指標を決めます。

4週目:再配置・採用・育成の判断

残る不足が育成で埋まるのか、採用が必要か、外注や標準化で軽くできるのかを判断します。

まとめ

兼務が増えること自体は、中小企業では珍しくありません。問題は、役割の境界が見えないまま、優秀な人の善意で回してしまうことです。そこに手を入れないまま採用だけ急いでも、また同じ人に仕事が集まりやすくなります。

だからこそ、最初にやるべきは人探しではなく、仕事の分解です。どの業務が重なり、どの職能が必要で、誰の才能がどこで活きやすいかを整理する。そのうえで再配置、育成、採用、定着をつなげることが、Onefamilyの考える「人が活きる組織は、偶然ではなく設計できる」という実務です。

兼務で回している現場を、属人化ではなく構造で整えませんか。

Onefamilyは、兼務業務の棚卸し、役割整理、採用要件の言語化、JOBEEを活かした再配置、定着設計まで伴走します。まずは資料で全体像を確認し、必要なら個別相談や簡易診断から現状を整理してください。

参照元

・中小企業庁「2025年版 中小企業白書(HTML版) 第3節 雇用環境・労働移動」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_3.html

・厚生労働省「令和6年度『能力開発基本調査』の結果について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/001548719.pdf

・厚生労働省「令和6年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r06-46-50_gaikyo.pdf

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